ロングライドの壁、楽して走る方法

4月に別の場所に書いたことを、ちょっと改定して掲載してみる。

自転車初心者の人は、走る前に、速度以前に、慣れている人に「負けている」ことが多すぎる。

うわあ、えらそうだな。私自身下ハンもてない人だし、チームのロングではまともに完走したことがないし、下りでは大減速するので、初心者の方にえらそうに言う器ではないのだが。
ロングライドの壁、えーっと、だいたい100kmの走行にドキドキするぐらいの段階の人たちの前にある壁というのは、脚力とか登坂力とかではない。そもそも、脚力とか筋力とか心肺能力とういのは一朝一夕でつくものではないし、むしろロングを繰り返していくことで自然に付くものなので、それは越えなければならない「壁」ではなく、結果のひとつにすぎないから。
100kmというと、休憩込みで、初心者的にはだいたい6時間。私がロード乗りたての頃、一人で大田区〜逗子を往復して練習していた時で、片道 3h/50kmだった。結構時間にしてみると長い。慣れていない人にとっては、ちょっとしたことの積み重ねが負担となって、経験者との差が開いてしまう。脚力等の自転車能力の差以上に、これが大きい。逆に言えば、そういう細かいところを一つずつ克服していければ、すっごく楽になれると思うのだ。
肉体を鍛えるには……しんどい思いをしなければならないけれども、ここでは一つ、
いかに楽をして(重要)、走れるようになるか?
というコンセプトで。己の経験も思い出しつつ。

・荷物が多い。
・鞄を背負っている。
・負担となる服装。
・自転車が重い。段数が少ない。
・ルートを把握していない。
・ボトルの水が飲めない。
・ギアチェンジをあまりしない。
ケイデンスが不適切。
・まっすぐ走っていない。
・サドルにどっかり腰掛けている。
・お尻が痛くなったりする。
・自分の速度を把握していない。

  • 荷物が多い。
     ……荷物が多い人、それは私(●´∀`●)∩ハーイ。そう、初心者ほど荷物が多い。これが重量増とか操作性の悪さを招き、無駄に遅くなることに繋がる。
    私の初期の装備と言えば、フロントバッグ(オルトリーブのアダプターのいるやつ)をつけたがために、サイコンとライトのためにハンドルからT字のアダプターを伸ばし、コンパスベル。腕にはGPS(Fortrex101)と心拍系(SUUNTO T3)で松本メーター状態と言われ、……他にも色々あったハズ……。
    ハンドル周りがあれこれうるさいと、持てるポジションが限られてくるからねえ。重心位置が変わるのもよくないし。
    慣れれば段々荷物は減るものなのだが(今はましになったが、それでも私は多い)。
    #今も後ろツール缶にサドルバッグも大きくて、さらにポケットもパンパンですが……orz。
  • 鞄を背負っている。
    私も常にヒップバッグなりウェストバッグを背負っていたし(今もピコピコリュックは手放せない……)。そもそも鞄なしでおでかけということ自体、自転車以外にはありえないから、相当最初は抵抗があった。
    しかし、リュックだと背中をふさいでしまうので、放熱できず、肉体の可動効率が激下がりします。気分も悪くなるし、本当にダメ。汗がたまって乾かないし。
    メッセンジャーバッグだと、左右の重さの係り具合が均等でないので、肩とか腰とかに来ます。
    ヒップバッグが一番ましかもしれないが、重いものを入れると腹痛になったりした(ドイターのノルディック450かな?)。
    たどり着いたのは、Wingnut HYPER2.5ですが。
  • 負担となる服装。
    ジャージにレーパンというのは、本当にシンプルで、自転車ノリにとって負担がないように作られた服装なのだが、初心者にとっては抵抗があるもの。でもやがていつか気づくでしょう、レーパンジャージに対する気持ち的な抵抗よりも、その上にズボンをはいたりすることによって生じる物理的な抵抗の方が恐ろしいものだと言うことに……。
    また、綿等の吸湿速乾じゃない素材を使っていたりすると、体温調節が上手くいかずに、これも体の負担になる。汗はにおうし、物理的に重いし!
    #しかしジャージやウィンドブレーカーは高いので、いきなり全部快適にそろえろと言うのも難しい話なのであった。
    夏は特に軽装を心掛けること! 自転車用ウェア上下を身に着け、余計な重ね着はしない。暑いのに汗がかけず、汗をかいても乾かないような格好だと体温が下がらない。オーバーヒートはパフォーマンスを下げるし、熱中症にもなりやすくなる。ただし、アームカバーレッグカバーは必ずする事。したほうが涼しいですから! 直接日光が当たるのは、むちゃくちゃ負担になります。
  • 自転車が重い。段数が少ない。
    いきなりフルカーボンのフルデュラフルレコード車を買う人はそうそういないわけで、初めての人ほどアルミ鉄ティアグラソラに、パーツもエントリーモデル。これも結構ハンデだけど、それはしかたがないようなorz。と、アルミ+カーボンバックのエントリーモデルのワタクシが申しております。
  • ルートを把握していない。
    どこへどんな風に走るのか、先が見えるのと見えないのでは、不安感や心構えが違う。走るルートが事前にわかっていれば、下調べしておけば、距離や峠がどのあたりで来るのか、どの程度の高さを知っておくと精神的にも肉体的にもずっと楽になるはず。
  • ボトルの水が飲めない。
    必ず飲み口のついたボトルで。
    街中なら信号ストップがあるけど、普通にロードで距離を走る時に選ぶ道には、信号がほとんどない。飲むために止まっていたのでは、なかなか進めない(信号ストップのある/なしだけで、全体的な平均速度は2km/hぐらい変わる気がするわけで)。じきに止まることを申し訳なく感じたりしたらなかなか水が飲めなくなり、体調が悪くなったりすることもあり得るのだが、これは遅くなるよりもなお悪いので(余計遅れてしまうし!)、ちょくちょく止まることが大切。そこの**遠慮は絶対にしてはいけない**。でも、夏までにボトルから水分補給できるようになるように!
    だいたい、熱中症予防にはこまめにちびちび水を飲まなければならないので、たまにがぶ飲みするのでは吸収効率が下がって、効果がない。夏場にこれはとてもまずい。
  • ドリンクがスポーツドリンクじゃない。
    お茶とか水とか、特に梅雨から夏の時期にかけては、絶対にダメ。熱中症で死んじゃいますよ! 適切な補給の基本として、ミネラルと塩分の補給は絶対に。

以上が「走る前から負けている」部分。これだけで慣れている人との差がついてしまって、脚力差と合わせて相当なハンデになってしまう。
さらに走行中の「ちょっとしたこと」。

  • アチェンジをあまりしない。
    えー、私も相当ギアは変えないほうなのですが。
    特に初心者ということで、補助ブレーキを使っている人は、ブラケットに手がかかっていないために、ギアチェンジをする回数がキョクタンに少ないみたい。とっさの変化に対応するようなことができない。これは疲労を貯めるし、効率も悪いので、距離走ればどんどん肉体的な不利が積み重なります。
  • ケイデンスが不適切。
    ↑と絡むのだけど、重いのをがしがし踏んでいたら、脚はすぐに売り切れます。高速回転(90っていうけどねえ)を長い時間続けられる癖付けができれば……。
    逆に軽すぎるギアをただ回していても、空転するだけで推進力になっていないことも……。
  • まっすぐ走っていない。
    まっすぐの道のはずなのに、クランクの回転と合わせて前輪がふにゃふにゃ首振りしていたりする人もいる。結果的にはまっすぐでも、実質人の1.x倍の距離を走ることになるわけで、とっても勿体無い。
    理由としては、うーん、補助ブレーキを使っていたりすると、腕の位置が狭くて、ハンドルを安定して持つことが難しいとか?
    ギアが軽すぎてもこうなる気もする。
    #これには3本ローラーが一番きくと思うのだがー。
    ##ペダリングが蟹股だったりするのも、3本ローラーが(ry
  • サドルにどっかり腰掛けている。
    ペダルに体重がかけられないから、踏めないし、回せない。サドルの高さを上げるとか? 要するにポジションが出ていないということなのだが、これも一朝一夕では難しい。
    #私は未だにふわふわサドルなので、えらいことはいえませんよ?
  • お尻が痛くなったりする。
    これはもう恐怖の対象。走行にも影響するし、モチベーションも……。サドルやポジションがまだなうちは、シャーミークリームやメンタムなんかで対応するしか……。
  • 人の後ろにつけない。
    これは難しいのだが(私もニガテ)、できるのとできないのとでは、楽さが100倍は違う! 速く楽に走れちゃうのだ。できないと、常に人の助けを借りられず、しんどい思いをして付いていかなければならない。こればっかりは練習だなあ……。
  • 自分の速度を把握していない。
    速度と言うか、心拍計が目安になるかと。自分が疲れているのか頑張れるのかを把握して、慣れている人にその通り伝えておけば、先方もどのぐらいのペースで引けるのか、あげていいのかさげたほうがいいのかがわかるから。

誰でも最初は初心者だったし、初心者に限らず、落車やトラブルは、誰にでも起こりうることだ。
慣れている人から見れば、わざわざ言わなくてもいい、本当に基本の基本の基本のことが多いのだが! でも、初めての人にはわからないし、わからなくても当然なのだ。それは全然恥ずかしい事では無い。だからこそ、特に事前準備でできることは(せめてせめてスポーツドリンク&ボトル持参だけは、今からの季節)きちんと伝えて、注意を促すことはできるんじゃないかと激しく思った。
細かい負担の積み重ねが体力と集中力を奪い、結果として落車に繋がっるということもあるわけで(これらのことを守っていれば落車しないかといえば、そんなことは決して無いけれども)、自転車は恐くてしんどいものではなく、安全に楽しいものであって欲しいので、簡単に避けられる不安は最初から取り除くに越した事はないと思うのだ。
それと大切なこと!

下りは常に自分のペースで!! 自分の安全速度で!! 下りの練習はしちゃいけない。慎重に、よく見て、恐がらず、きっと下れるから!

下りが大の大の大の大の苦手の私だけど、幸い落車したことがないのは、無理しないからだと思ったよ。初めての人はついていこうとして焦っちゃうけど、存分に待たせればいいんですよ!! 上級者は責任持って待ってください……。