鹿野司『サはサイエンスのサ』

サはサイエンスのサ
サはサイエンスのサ
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鹿野 司
早川書房
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サイエンスはアナタを変える!? インフルエンザ予防の誤認識、日本国憲法の過激な運用法、記憶読み取り装置の可能性など、確かな科学知識と特異な視点から、これまでの思い込みをあっさりくつがえす、知的冒険に満ちた科学エッセイ集。

イラストのとり・みきのブログより。
http://www.torimiki.com/2010/01/blog-post_22.html

地球温暖化にまつわるエコ運動の実態、自然食品や化調・遺伝子組み換え食品への誤解、原発なんてやめてなんで風力や太陽発電にならないの? 豚インフル騒動、中国バッシング、2ちゃんはホントに悪いところ? 等々、報道やネット上でもけっこう多勢を占めている論調の思いこみや誤解が、けっして上から目線や高飛車になることなく、我慢強くわかりやすく、そして科学的に解き明かされていく。ウロコポトリの連続だ。
そして机上の論説だけではなく、自身が体験した肉親の介護と死に関する数章は胸を打つ。その章も含め、人はもっと希望や信頼をもっていいよ、という全体的にやさしくてポジティヴな論調が特徴的。読者もまたそういう心持ちにさせてくれる。

第1章 カラダを変えるサイエンス
ブラジルから来た少年はクローン羊ドリーの夢を見るか/優生思想のまぼろし/変化と多様性/クローン人間は苦労人かも/トランスジェニックと人類の変貌/免疫抑制剤なしの臓器移植/細胞工学から細胞シート工学へ/生物を合成しよう/地球以外生命体の作成と生物版ロボコン/遺伝子というコトバは死語になった/セントラルドグマ崩壊/風雲急を告げるiPS細胞/iPS細胞の現実/iPS細胞のSF的可能性/インフルエンザと魂かなしばりの術/公衆衛生上のリスクと個人の脅威/予防原則もほどほどが良いんでないの
第2章 ココロを変えるサイエンス
風の谷のナウシカ 人間を疎外しない選択/現代の写し絵 新世紀エヴァンゲリオン/甘やかされた人々/信頼と信用/科学と宗教/科学的精神宗教改革者/超越者のありかた/開祖なし宗教と開祖あり宗教/救済装置の変遷/宗教と精神療法/父との最後の日々/やっぱり人間は面白い/意識の謎は解けるのか?/心の盲点を気づかせないシステム/世界を変革する神経学的マイノリティ/社会脳仮説と天才の秘密/心をつなぐ共同注意
第3章 セカイを変えるサイエンス
認知の歪み思考の癖/論理より心理が好きな脳/還元主義は越えずにずらす/文明超生命体論/なぜヨーロッパの科学は世界を席巻したか/装甲としての法、拘束具としての法/一〇〇〇年の無法/法文化の違いとその副作用/パクリイクナイ!!……の?/「2ちゃん」&「ニコ動」の和のモチベーション/日本国憲法を攻撃的に使う/フレーム問題を超える非論理/究極の謎を解くかエログリッド/世界の謎を解きますた/環境という名の知性/宇宙と知性と生命/ヒトだけにある根源的非論理/経済ってホントよくわからない/信じれば願いごとはかなうよ/こっくりさんとデッサン
第4章 ミライを変えるサイエンス
深海は謎に満ちている……月なみ? いやいや/アポロ一個一〇円の時代/奢れるムーアも久しからず/集積技術の増殖期からカンブリア爆発へ/マルチコア、メニイコア カンブリア爆発の予兆かも〜/はやぶさよ還れ/テレパシー・マシン再考/こころを読む機械/アタマのナカミはどこまで解るか/ドリーム・マシンが実現するかも/地球温暖か?/決まったことを変更するのは難しい/イヤンな感じの倫理観へのすりかえ/予防原則はリアリズムなのか/炭酸ガス削減というミスリード/省エネはエネルギーシェア/新エネルギーはどうですか/炭酸ガスを象徴にしてはダメ/人類が死守すべきもの