映画『太陽の墓場』

あの頃映画 太陽の墓場 [DVD]
松竹 (2012-12-21)
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売血、売春、人身売買、戸籍売買が横行する昭和三十年代の大阪・西成のスラム。にやってきた童顔の少年(佐々木功)の善意によって人が死にまくる映画。喋る時は割と軽い声のへにゃっとした大阪弁なのに、歌い出すと超バリトンの歌手ささきいさおになるのがおかしい。全編ささきいさお
三丁目の夕日』や『となりのトトロ』が同時代?そこにこういうスラムが存在したというリアリティ、大阪の人以外にも、今、わかるんだろうか。「時代はかわるんか!?」の先に釜ヶ崎の暴動があり、今も…。飛田シネマ、いい映画やってて、オールナイト500円だけど、行ったことない。
あと永井一郎な。『じゃりん子チエ』の小鉄池田市出身。汚い親父をナチュラルに熱演。今何歳なの!?
バストショット以上の寄り、顔面どアップが多くて、だからこそ熱気と狂気が立ち込めるんだろうけど、もうちょっとカメラ引いてー!とフラストレーションたまった。他は凄かったけど。
でも何と言っても、ヒロインの花子。計算高いあばずれ。汚いけど美人で、あのスラムにいて違和感がないところが、『魚影の群れ』で違和感バリバリだった夏目雅子と違うところ。一人カラフルで悪趣味なドレスを、しかし上手く着こなして、これ以上のリアル峰不二子はないわー!すごい。
初めて大島渚の映画を見たけど、舞台が見知っている大阪でなければ、苦手かも、という印象。群像劇としてすごくよくできているし、テーマも筋もいいし、凄まじい映画だと思うし、傑作だと思うけど、好みかというとどうかなあ。カメラが寄りすぎなのは、これだけなのかなあ。とりあえず来週の『絞死刑』見にいく予定。