『偽りなき者』

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少女のたわいのない(というのは嘘で、感情的な理由を表す描写が素晴らしかった)嘘で変質者の烙印を押された男。やってないことを証明するのはまさに悪魔の証明。予想してたけど、鉛の鉄板で全身押しつぶされるような映画だった。
何が嘘で何が本当なのか、真実なんていとも簡単に消え失せて塗り替えられる。一度生じた疑いは決して消え去ることはない。「正義」を前にしたらどんな尊厳も消し飛ぶ。ところで一箇所、おちんちんもろ見えのシーンがあったよね?おちんちんくらい見る見る!ふつーふつー!ってことかな?
見ている自分が登場人物のどの立場にもなり得ること。全ての人々の表情、言葉が丁寧で、誰の気持ちにも共感できてしまう。観客として、疑いが事実ではないことを知らされてはいるが、なまじなホラーよりも、とても怖い映画だった。
原題は『狩り』なのか。それはつまり、そういう意味のことを伝えたかったのか。……呆然。これは『狩り』のタイトルで見なくて良かったな。恐ろしすぎる。
いい映画だけど、めちゃくちゃ糞真面目で重い。学校で見せるのもいいかもしれない……。