映画『太陽を盗んだ男』


なるほど、すごかった。菅原文太の徹底した鋼鉄人間ぶりと沢田研二の空疎な軽い純粋な悪意と池上季実子の投げっぱなしっぷりと、トラック野郎本気のカーチェイスとか時代とか、完璧。
沢田研二の無邪気な狂気、ガイガーカウンターのぶちぶち音がもたらす死の恐怖。意味不明で荒唐無稽な計画なのに、上手く行くことになぜか違和感がないのが不思議。ちゃらんぽらんな沢田研二に振り回される菅原文太が始終大真面目でかっこ良くて、このバランスが素晴らしかった。
ものすごい勢いのある映画だけど、映画として破綻がなくテンポも脚本も四角四面なぐらいがっちりしている(相米慎二とか結構破綻してるやん?)。大真面目なのに思わず吹き出す笑いどころの配置が感動的だった。特に西田敏行の場面。あそこばかりは沢田研二に感情移入してしまった。
アマゾンのレビューには爽快と書いている人もいるけど、息苦しさと不快感がまさった。菅原文太に感情移入してるし。衝動的に作ってしまった原爆で、警察国家を牛耳るも、自分には要求したいことが何もない空虚さが身につまされたのかも。
金沢映画祭の野外上映の『トラック野郎』見た時も思ったけど、元気な頃の日本映画って破天荒で本当に面白い。