映画『かぞくのくに』

公式サイト: http://kazokunokuni.com/

全く見たくない映画だったけど、本当によかった。キネ旬外国映画1位『ニーチェの馬』のタル・ベーラが「映画はただ映画なだけ。メッセージはない」のと対称的にメッセージ「しかない」。これが日本映画1位なのはバランスがいい。この映画なら『ニーチェの馬』と充分に並び立つ!
さあ帰ろう、ペダルをこいで』とか亡命映画はツボだけど、東欧のそれと違い、これは今ここにある北朝鮮(舞台は1997年)。16の時に一人北朝鮮に帰国した兄が病気治療のために25年ぶりに日本を訪れる。無言が多いのは即物的な意味で喋れない(総括される)から。切ない。
ふらふらした手持ちのカメラの映像が最初は気になったが、家族の姿を丁寧にただ「映す」手法はとても良かった。結構長回し。もしあの時、と言ってはいけない。どうしようもない。後悔も辛い。誰かを責めるのも辛い。無言で泣くシーンがとても多い。しんどい映画だけど、見て良かった。